動物系由来と植物系由来精力剤の違い|効果と成分をタイプ別に解説

動物系由来と植物系由来精力剤の違い

男女ともに、性欲を高めるのはアンドロゲンと呼ばれる性ホルモンの働きによるものですが、男性の場合、年齢と共に体内のアンドロゲンは減少し、活性が弱くなるといわれています。

逆に、女性の場合は加齢に伴い体内の女性ホルモンが減少するため、相対的にアンドロゲンの割合が増して性欲が強くなるといわれています。

ですが、働き盛りの男性のみなさん、年齢と共に性欲や勃起力が低下するのは仕方ない、とあきらめないでください。

男性ホルモンの活性は、年齢よりも生活習慣に大きく依存し、30代でEDになる人もいれば70歳を過ぎて現役バリバリの男性もいます。

そこで今回は、強精強壮に役立つといわれる精力剤について、動物由来、植物由来、ミネラルやアミノ酸など単一成分の3種類にわけて、気になる効果の信ぴょう性を明らかにしてみたいと思います。

動物由来の精力剤成分

目次

動物に由来する精力剤には、ヘビやカメ、トカゲなどなぜか爬虫類が多く、なかでも毒を持つタイプが人気のようです。

本当に効果があるのか、気になるその中身を検証します。

マムシ


動物系の2大精力剤といえばマムシとスッポン。

特に赤マムシは効果が強いイメージがありますが、実際には皮が赤いだけで中身は同じです。

マムシが精力剤として珍重されるのは、古くから漢方生薬として利用されてきた歴史があるからのようです。

しかし、中国医学の古書には傷薬や毒消しに処方されてきたとの記述はありますが、精力増強に直接かかわる記述は見当たりません。

強精のイメージは、蛇のペニスが二股に分かれていて、1日中交尾を続ける習性があるから、といわれています。

スッポン


中国最古の薬学書「神農本草経」にも登場するスッポン。

日本でも昔から滋養強壮食として珍重されてきました。

「残すところがない」といわれるスッポンは、肉や内臓、血液などは食用に、骨や甲羅は粉末にされ、漢方生薬として利用されます。

近年、東京大学や富山医科薬科大などでスッポンの薬理機能について実験が行われ、高血圧、肝機能、抗疲労、抗腫瘍、骨粗しょう症などに機能性を有することが報告されています。

しかし、残念ながら精力剤としての作用は確認されていません

オットセイ


オットセイはオス1頭に対してメス20~30頭という一夫多妻制をとる習性があり、中には100頭にのぼるハーレムを形成する精力絶倫なオスもいます。

そんなこともあってか、古くから精力剤として利用されてきました。

オットセイの愛用者として最も有名なのは、江戸幕府11代将軍の徳川家斉で、正室のほかに15人の側室を持ち、男26人、女27人の子をもうけたとされています。

家斉は精力増強のためにオットセイのペニスを粉末にしたものを愛飲していたといい、オットセイ将軍と呼ばれたそうです。

かつて慶応大学医学部で、オットセイのたんぱく質に含まれるペプチド(アミノ酸の集合体)に「カロペプタイド」と名付けて行われた研究が行われ、カロペプタイドには末梢血管を拡張して血流を促進し、新陳代謝を活発にする作用があると報告しています。

研究グループによると、神経痛、リウマチ、腰痛、ぜんそくなどに効果がある、としていますが、残念ながら精力増強に関する効果の報告はありません。

この研究は今から50年以上前の1967年に行われ、その後カロペプタイドに関する研究が行われたとする記録は見当たりません。

余談ですが、徳川家斉はオットセイ以外にもショウガが大好物で毎日食べていたそうです。

さらに、当時としては珍しい牛乳を煮詰めた高たんぱく食品「白牛酪(はくぎゅうらく)」も好んで食べていたそうですので、絶倫の秘密はそのあたりにあるのかもしれません。

コブラ


コブラもマムシ同様、精力剤として人気の蛇ですが、頭のカタチと強そうなイメージが精力絶倫になれそうな気にさせてくれるからでしょうか。

しかし、コブラの実力もやはり実証されたものではなさそうです。

1960年代に九州大学でコブラ、ハブ、マムシの毒性を調べたところ、マムシの毒が最も強く、次いでハブ、コブラの順でした。

ヘビの毒に精力剤としての効果があるとするなら、コブラの効果は3種の中でもっとも低いということになりそうです。

2017年に厚生労働省がネットで販売されている精力系の健康食品を買い上げ調査したところ、コブラエックスという商品からシルデナフィル(バイアグラの主成分)が検出されています。

この商品の正体はコブラの名を借りたバイアグラであり、残念ながらコブラに格別な効果は期待できそうもありません。

ヤモリ

漢方で強精強壮薬として使用されるのはニホンヤモリではなく、東南アジア原産のトッケイヤモリという種類で、別名をオオヤモリといいます。

オオヤモリの内臓を取り除いて乾燥させ、開いた干物のようになったオスとメスのお腹側を張り合わせたものが生薬の「蛤?(ゴウカイ)」です。

精力剤として使用する際には丸ごとアルコール度数の高い酒に漬け込んで飲みます。

このゴウカイ酒には男性ホルモン様の作用があるといわれていますが、この説の正確な出典や分析データなどは見当たりません

オオヤモリの交尾は2~3日続くといわれており、そこから精力絶倫の効能が伝えられるようになったといわれています。

植物由来の精力剤成分

植物由来の精力剤成分は、東南アジアや南米など気温の高い地域に由来するものが多いようです。

植物が過酷な環境で生き残るために、繁殖に有益な成分をつくるようになったのかもしれません。

ニンニク


強精食の代表ニンニクにはアリインという含硫アミノ酸(イオウ成分を含むアミノ酸)が豊富に含まれています。

ニンニクの細胞内に存在するアリインは、すりおろすなどして細胞が壊れると、酵素の働きであの独特の匂い成分アリシンに変化します。

アリシンはビタミンB1の吸収を高め、血中濃度を長時間に渡って維持します。

ビタミンB1は疲労物質を分解して疲労回復に働くビタミンですが、ニンニクに含まれる別の成分には新陳代謝を高めて疲労を軽減する作用があるといわれています。

ちなみに、ニンニクと同じネギ属のタマネギや長ネギにも男性ホルモンを活性化する作用があります。

ニンジン


ニンジンといってもカレーに入っている、あのニンジンではありません。

古来、ニンジンといえば高級漢方生薬としておなじみの高麗人参を指していましたが、日本では後から伝来した野菜のセリニンジンが広く普及したため、いつのまにかニンジンといえば赤い野菜の方を指すようになりました。

国内での高麗人参の正式名称はオタネニンジンとされていますが、この名前は、徳川吉宗が諸大名に栽培を奨励したため、「御種人参」と呼ばれていたことに由来します。

オタネニンジンの生理活性物質はジンセノサイドというサポニンで、性ホルモンとよく似たステロイドの一種です。

ジンセノサイドは男性ホルモンや女性ホルモンの受容体と結合するため、男女ともに性ホルモンの補充に似た働きをします。

男性では性欲やEDの改善に、女性では更年期障害の緩和に役立つと考えられています。

オタネニンジンと同種のエゾウコギやサンシチニンジン(田七人参)にも、同じような作用が知られています。

マカ


精力剤として高い人気を誇る「アンデスの女王」マカ。

マカもニンジンと同様、男性だけでなく女性のホルモンバランスを整えることで知られています。

マカの強精作用についてはいくつかの試験で男性の性欲を改善したとする報告がありますが、医学的な裏付けのある研究はまだありません。

マカと男性の性欲に関する研究では、マカは性ホルモンの量や活性には影響しないとする説と、男性ホルモンの活性を高めるとする報告がそれぞれあります。

また、マカに含まれるどの成分が性機能に作用するのかもわかっていません。

日本では、ネギ属と同じくマカに含まれる含硫アミノ酸の作用によるもの、とする説が主流ですが、マカの消費量世界一のアメリカではマカ独特の脂肪酸にあると考えられています。

マカエンというマカの脂肪酸には脳内麻薬のような作用があり、セックスの司令塔である脳を刺激することで、性欲や勃起力を高めるといわれています。

しかしながら、現段階ではマカの実力は謎のベールに包まれたままです。

トンカットアリ


マレーシアなど東南アジア一帯で自生する低木「トンカットアリ」は、古くから男性向けの催淫剤として珍重されてきました。

トンカットアリは非常に成長が遅く栽培に向かないため、これまではマレーシアやベトナムなど、原産地でしか使用されてきませんでした。

ところが、シンガポール大学とマレーシア大学の5年間にわたる共同研究の結果、トンカットアリの勃起力に対する強力な作用が明らかにされ、マレーシア政府の後押しによる商品化が進められています。

米国マサチューセッツ大学とマレーシア大学が共同で行った男性不妊症患者に対する試験では、男性ホルモンの量を増やして精子の量と運動性を高め、妊娠成功率を改善しました。

また、マレーシア大学の別の研究では、トンカットアリを1週間摂取した後に、精巣で合成される男性ホルモンの量が480%増加した、と報告しています。

マウスを用いた実験では、去勢されたマウスの性交能力を維持したとされ、韓国の研究では男性ホルモンの活性化はニンジンの5倍に相当すると報告しています。

トンカットアリは男性ホルモンに影響を与えるだけでなく、直接ペニスに作用し、勃起力を高めるメカニズムも併せ持ちます

ソフォン(アカガウクルア)


ソフォンは別名をアカガウクルアといい、原産地のタイでは男性向けの精力剤として、特に性的な若返りを意味する回春剤として昔から人気のハーブです。

ペニスは、海綿体のなかに張りめぐらされた末梢血管が拡張して、大量の血液が送り込まれることで勃起します。

しかし、逆に血管を収縮させる酵素も働いているため、一定時間を過ぎると勃起は収まります。

バイアグラなどのED治療薬は、この酵素の働きを阻害することで勃起をサポートしますが、ソフォンにはED治療薬と同じように酵素の働きを阻害する作用があります。

タイの国立大学で行われたED患者に対する臨床研究でこのメカニズムは立証され、被験者の8割にEDの改善がみられました。

バイアグラなどED治療薬には一定の割合で副作用が起こり、心臓の病気や服用している薬との相互作用によっては生命にかかわることもあります。

ソフォンはこのような副作用の心配がないED治療に役立つ素材として注目を集めています。

ミネラルやアミノ酸などの単一精力剤成分

動物や植物に由来する成分は、主成分以外の成分や不純物を含んでいます。

これらの成分に対して、ミネラルやアミノ酸など単一の成分として働く栄養素があります。

これらの多くはからだにとって不可欠な機能性成分です。

亜鉛


セックスミネラルの異名を持つ亜鉛ですが、その理由は男性ホルモンと精子の製造にあります。

亜鉛は体内で数百種類の酵素やたんぱく質の構成要素として、生体機能を維持するために不可欠なミネラルです。

代表的な働きだけでも、DNAの分裂とコピー、たんぱく質の合成、骨や髪の成長のほか、血糖値をコントロールするインスリン合成からエネルギーの産生まで、広く利用されており、欠乏すると、貧血、食欲不振、脱毛、免疫力の低下、認知機能の低下などを引き起こします。

セックスに関する作用としては、精子と男性ホルモンの合成に深く関わっています。

そのため亜鉛の不足は、勃起力の低下、精子の減少、性欲減退などの男性更年期の原因となります。

亜鉛を多く含む食品として牡蠣がよく知られていますが、内臓を丸ごと食べる小魚や豚レバーなどにも多く含まれています。

亜鉛は、精力を維持向上させるために欠くことのできないミネラルです。

タウリン


栄養ドリンクの主成分としておなじみのタウリンですが、本来はアミノエチルスルホン酸という肝機能改善薬です。

そのため、医薬品や医薬部外品である栄養ドリンクには配合できますが、エナジードリンクなどの一般食品には配合することができません。

一方、タコやイカなどに含まれる天然のタウリンは医薬品ではなく食品扱いとなりますが、天然のタウリンを抽出するのはコストがかかるので、日本国内ではサプリメントとしてのタウリンは販売されていません。

タウリンは精子にも含まれていますが、勃起力や性欲には影響しませんので、精力剤としての効果は望めないでしょう。

アルギニン


タウリンを配合できないエナジードリンクが、タウリンの代用品として採用しているのがアルギニンです。

アルギニンは肝臓で有害なアンモニアを分解する際に利用されるアミノ酸で、分解の過程でアンモニアから窒素を受け取ります。

アルギニンはこの窒素をもとに一酸化窒素(NO)へと変換されます。

一酸化窒素には血管を拡げる作用があるため、アルギニンは勃起にも深く関わっています

ペニスの海綿体でアルギニンが一酸化窒素に変換されることで、海綿体の血管は大きく拡がり、勃起に必要な大量の血液を導入することが可能となるのです。

しかし、アルギニンはたんぱく質を構成する必須アミノ酸であり、また、成長ホルモンの分泌を促す神経伝達物質でもあります。

さまざまな働きに利用されるため、肉などのたんぱく質食品からの摂取だけでは不足することがあります。

シトルリン


アルギニンが一酸化窒素に変換されるとき、同時につくり出されるのがシトルリンです。

シトルリンもアミノ酸の一種ですが、たんぱく質を構成しない遊離アミノ酸なので、血流に乗ってからだのなかを巡っています。

シトルリンはアルギニンのように多くの役割を持っておらず、そのほとんどがアルギニンに再合成されます。

そのため、体内のアルギニンを効率よく増やすためには、アルギニンを摂るよりもシトルリンを摂るほうが適しています

血液中の濃度を調べてみると、アルギニンが投与後30分~2時間でピークを迎え、その後は消失していくのに対し、シトルリンは投与後1~2時間でピークを迎えそれが8~12時間持続します。

このため、アルギニンとシトルリンを同時に摂取することで、血中濃度のピークが早く訪れ、長時間維持されると考えられます。

シトルリンはアルギニンの半分量で同程度の血中濃度に至ると考えられますので、シトルリン/アルギニン比は1:1か、1:2くらいが適量といえるでしょう。

まとめ


動物由来の素材は、毒を持つものや習性などから精力絶倫をイメージさせる動物が人気のようです。

しかし、動物性の精力剤は効果や機能性のメカニズムなどがはっきりしないものが多く、文字通り健康食品の域を出ていない印象です。

一方、植物性の精力剤成分は伝統医療などメディカルハーブとしての歴史が長く、効果についても科学的な研究により明らかにされているものが多くあります。

現在の医薬品の多くが天然の植物に由来することから、より効果が期待できるのもうなずけます。

アミノ酸などの栄養素については、もともと私たちの体内にある成分であり、生理機能の維持に不可欠なものです。

乱れた食生活や生活習慣によって歪んでしまったからだ本来の機能を取り戻し、正常に働くようにするために補給してあげることは重要です。

精力を高めるために、シトルリン、アルギニン、亜鉛については欠かすことのできない成分であり、トンカットアリやソフォンは内外の研究機関が機能性を明らかにした、価値のあるハーブといえるでしょう。

また、食生活では良質のたんぱく質に加えてニンニクやネギ類を積極的に摂り、余裕があればマカやニンジンを試してみるのもいいでしょう。

シトルリンなどのアミノ酸類とこれらの成分を一度に効率よく摂取するならサプリメントがおすすめです。

さまざまな成分を配合した強精強壮サプリについては、以下の別記事にて詳しく解説しています。

比較検討のポイントも書いてありますので、ぜひ参考にしてください。

 

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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

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